「ガク割れ」カーネーション split galyx を手直しするクリップ 【Baur carnation Clip】【staples】について
バー・カーネーション・クリップの宣伝記事
1908年12月24日の『Florist Review』誌に掲載された広告
1910年1月29日『American Florist』に掲載された広告
いわゆる「ガク割れ」したカーネーション
『カーネーションの研究』 土倉龍次郎、犬塚卓一共著 1936(昭和11)年
萼割の花の処理法 ※漢字や送り仮名等を読みやすく直してあります
萼割のしたものは米国ではあまり意に留められないようである。したがって他の一般のカーネーションと区別されることがなく、ことに冬季の萼割は気候、風土上、止むを得ないものとして、普通品と同様にして取り扱われている。それがため、値段も普通品と同等に取引されている点は、販売者もまた消費者もよくカーネーションの習性を理解しているのであるということができる。
しかし我が国では以前から嫌われており、たとい花萼が丈夫で長いものであっても、中等品として一段落されているのが普通の状態である。しかし萼割したからといって、切花の耐久性においては少しも変わったところがないものであり、かえって花弁の重ねが多いために一層大輪に見えるところから、用途によっては萼割といえども決して捨てたものでもない。それゆえ最近の米国ではかかるものを喜んで使用するものがあるように見受けられる。
萼割のカーネーションを補正するには、バー・クリップ Baur clip またはステップル (staple) という細い針金で製作された特殊なものが米国等では使用されている。これは萼の外部に出ている花弁を萼の中に納めて、割れた萼と萼とを合わせ、その合わせ目の両方の萼の上からこれを押しさして止めるに用いるものであるが、これで補正すれば殆ど普通の花と区別ができない程に花形も整い、花を手に取って萼を見てはじめてこれが判るものである。
現在我が国ではこのバー・クリップまたはステップルの代用として、極めて細い針金を5、6分の長さに切ってこれをU(※原文は逆U字)型に曲げて、前記同様の操作によって補正する方法が一般に行われている。しかし栽培家によっては糸で縫い合わせる方法を採用しているものもあるが、この方法は煩雑な手数を要し、また時間も費やすので現在はあまり多く見受けず、前記の方法が多く行われている。
※参考
スズキフロリスト鈴木昭氏の回想
https://ainomono.blogspot.com/2022/11/200380100.html