淡島ガラスと中川幸夫氏 小原流『挿花』昭和31(1956)年6月号
【淡島ガラスと中川幸夫氏】
小原流『挿花』昭和31(1956)年6月号
※以前、中川幸夫氏と淡島ガラスについて投稿した。昭和33年の作品。
https://ainomono.blogspot.com/2022/02/blog-post_65.html
今回はその作品以前、昭和31年の状況を批判的に紹介した記事。器の印象もよくないし、花もいかされていない、と書いている。
淡島ガラスと中川幸夫氏
東京駅八重洲口の大丸デパート四階のギャラリーで淡島雅吉氏の新作ガラス器の展覧会があった。その作品に四国丸亀に在住する、ユニークな作風で知られる中川幸夫氏(白東社)が花をいけている。
岩田藤七氏の多彩・肉厚なガラス器と 対照的な作風を示す淡島ガラスは、ガラスの透明で冷えた質感をいかして、清潔で、近代的な型をもっている。藤七ガラスが豪華な色彩やフォルムを狙っているとすれば、淡島ガラスは生活的な、簡潔な日用品的な味である。この展覧会も、 初夏にさきがけて。商品としての生活線を狙ったものと考えられるが、その点では、大いに購買欲をそそっていて、成功したと思われる。
遠来の中川幸夫氏のいけばなは、会場のアク々ントにいけてあるというかんじで、しかも、器がオールガラス器であるためか一向に引きたたず、影の様に淡彩であった。しかし、花の持っている線をきびしく見つめて探り出し、表現するあたりデッサン力の確かさを感じさせる。
総じて淡島ガラスは、グッド・デザインの優等生的な品のよさと商品性の典型の兼ね合いの上に立っていて、迫力を欠いている。
これをマスプロ作品の通弊だといって、果していいものなのだろうか。
―カットは出品作から-