1991年 パウル&ウルズラ・ヴェゲナー夫妻と工藤昌伸氏による歴史的な対談記録
小原流機関誌『挿花』1991年7月号から パウル&ウルズラ・ヴェゲナー夫妻と工藤昌伸氏による対談記録 日本とドイツのフラワーデザインの関係、交渉史を考える上で非常に重要な、1991年の対談。 現在の日本と世界のフラワーデザイン界で理論体系をリードするドイツデザイン指導者のなかで最重要人物であるヴェゲナー夫妻は、日本のいけばなを学び、自らの仕事に生かそうとしていた。日本のフラワーデザインの展開はディーン夫人、キスラー、ベンツ氏からヴェゲナー夫妻まで小原流との関わりを抜きにしては語れない。 パウル・ヴェゲナー(1931~1995)と妻、ウルズラ(1942~ )はともに優れたデザイナーであり、教育者として知られる。60年代から70年代にかけて「花の造形運動」を起こした。自ら学校を主宰し、海外でも指導を行うなど国際的に活躍しました。1950年代から西ドイツを代表して園芸展のディスプレイやデモンストレーションを担当し、専門誌への寄稿や著書も多数残している。日本のいけばなを造形的な目で見直すことにより、フローラル・アートに新しい波をもたらした。夫妻と工藤氏は翻訳された互いの著作で知っていたがこの対談が初対面であったという。(『日本いけばな文化史』第5巻「いけばなと現代」1995年) ※パウル(故人)とウルズラの生没年は以下のプロフィールによる 『ウルズラ&パウル・ヴェゲナー 花の作品:自然からの印象』六耀社 2001年 ***************************** いま、いけるとは。 ⑦フラワーデザインといけばな 昨年の十一月から十二月にかけて、世界的なフラワーデザイナーが来日された。ドイツの ウルズラ・ヴェーゲナーさんと、パウル・ヴェーゲナーさんのご夫妻 である。一九六〇年代、ヨーロッパのフラワーデザインの世界に新風を送り込んでから、常にリード役として活躍し続け、今日のフラワーデザイン界に多大な影響を与えてきたお二人。忙しい来日スケジュールの中、本連載のためにとくに時間を割いていただいて、花をいけるということに対する、東西の意識の違いなどについて、お話をうかがうことができた。その抄録を今回はお届けする。 聞き手は、いけばな研究家、工藤昌伸氏 。なお本文中、ヨーロッパにおける花、いわゆるフラワーアレンジメント、フラワーデザイン、フラワーデコレー...
