ハワイの花店とフラワーデザイン クボ・カズマサ氏のレポート 1968年

 『カリフォルニアの花 ―アメリカ西海岸花と種苗生産視察団報告記―』社団法人日本花き生産協会発行 1968年11月11日 (非売品)から

100番のレイの男性が筆者



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ハワイの花店とフラワーデザイン          クボ カズマサ

 


僕は今度の視察団とホノルルで別れ、ハワイで約一ヵ月半花店の視察とフラワーデザイン研究のため滞在しました。そこで、その事について少し書いてみようと思います。

 ハワイの花店は大きく分けて二つの型に分類されます。一つはワイキキ空港等の観光地域に多いレイやホテルの装飾を主とした店と、もう一つはカットフラワーを主体に売っているお店とに分けられます。前者はレイやホテルの装飾を主とした店で、せいぜい四~五人の家族ぐるみでお店をやっているというのが多く、店舗よりも作業場に重点が置かれている様な感じでした。

 客層としても観光客が多い様です。レイにはプルメリア、バンダ、ステフアノーティス、ピカキ、カーネーション等が多く使われ、型もシングル、ダブルと様々あり、さすがにハワイの花の豊富さにはうらやましい感じがしました。

 後者の客層としては土地の人が多く、商売の内容が自然前者とは異なります。後者は日本の花店とよく似ている点もかなりあり、アメリカ本土と違って参考になる点も多かった様に思われました。

 フラワーデザインにおいては技術的な面で、それ程進んでいるという所は見い出せなかったし、この事はアメリカ本土についても同じ事がいえると思います。

 アレンジメントについてはサプライものでずい分日本が遅れている様です。例えばプラスチック製品(コンポート等)は日本の製品とくらべて種類が豊富だし、コストも安いし、品質もよろしいですね。

 最後にハワイアン・スタイルのアレンジメントについて少し述べておきましょう。アンスリウム、ジンジア(*ジンジャー)、バンダ等ハワイ特産の花を使った、また、カラフルなアレンジメントが特色といえると思います。それとウッドローズ、ベビーウッドローズ、リップスティック、ウキグラス等を使ったドライアレンジメントもやはりハワイアンスタイルのアレンジメントと言えますね。


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